生きている限り、老いはやってきます。
静かに、そして確実に一歩一歩近づいてきます。
そんな老後の生活の大きな支えとなる公的年金保険制度ですが、それだけで老後の生活を賄うのは不可能というのは、既にお話したとおりです。
そのための対策として、現役である今から預貯金なり、投資なり、個人年金で準備をしなくてはならないのですが、その準備すべき金額が年々、どんどん増えていくことが予想されます。
つまり、
受給できる金額の章でお話をした、
私達が受給できる公的年金の金額が今後も、どんどん減っていくということです。
ここで、公的年金制度における、若年者と老年者の比率のデータを見てみます。
それぞれの年齢を構成する人口から、老年者1人を何人の若者者が支えているか、という視点に置き換えたデータです。
1960年代まで、10人で1人の老年者を支えていたのですが、
2000年には、4人で1人の老年者を支えている状態になってしまいました。
そして今後、
2020年代には、2人で1人の老年者を支え、
2040年代には、1.5人で1人の老年者を支えなくてはならないことが予想されています。
このような、若年者にとっての負担の増加は、出生率の低下や超高齢化社会突入という現実から想像すれば、何の不思議もありません。
今までと同じ年金保険料を集め、今までと同じ年金額を支給していたのでは、制度自体が立ち行かなくなるのは、明らかです。
つまりこれが、世に言われる
年金制度の崩壊です。
この「年金制度の崩壊」を防ごうという目的で日本政府が行った改革の一つが、公的年金支給額の減額なのです。
(問題を徐々に先送りにしよう…というものではないことを祈っていますが…)
今後の年金制度の行方を一言で言えば、
年金保険料は高く、支給年金額は低く、支給開始年齢は高く
の一言に尽きるのですが、もう少し詳しく見てみましょう。
【5年に1度 年金改革を実施】
・前回は、平成16年6月に改革が行われたので、次回は平成21年に
改革が行われる予定です
・この改革で、年金保険料と支給額のバランスを調整します
【国民年金保険料の引き上げ】
・平成17年4月より1年ごとに、月額負担を280円引き上げる
(平成29年度には16900円/月に固定)
→家計への実質負担:毎月280円/1人
【厚生年金保険料の引き上げ】
・平成16年10月より、毎年0.354%引き上げる
(平成29年度 18.30%に固定)
→家計への実質負担:給与の水準により違うが、
平均で月650円程度
【厚生年金の世帯水準の引き下げ】
・平成16年度水準:現役世代のボーナス込み手取り収入の59.3%
↓
・平成37年度水準:現役世代のボーナス込み手取り収入の50.2%
→家計への実質負担:手取り収入500万円世帯の場合、
平成16年度には297万円の年金がもらえていたものが、
平成37年度には、251万円に引き下げられる(*)
*夫のみ40年間就労した場合のケース
ほかにも、マクロ経済スライドの導入(*1)
在職老齢年金の見直し(*2)
納付猶予制度の創設(*3)
などがありますが、年金保険料や支給額に直接影響をするものについては上の4つです。
*1:現役世代の負担と、年金給付のバランスをとることで、年金額の上昇を、物価の上昇よりも低くすること
*2:年金の受給権がある人が、会社に在職している場合、年金が減額されたり、支給停止になること
*3:20歳代の若年者の所得基準によって、保険料の納付を猶予する制度で、納付可能となった時に10年以内に追納が可能となる
ここまでで見てきた通り、老後の生活を公的年金だけに頼ることが、今後はどんどん難しくなっていくことが立証されたといえるのではないでしょうか。
まだ若い世代にとって、老後は遠い未来の話に思えるかもしれませんが、今後の年金制度の動向や、早いうちからの老後資金の確保については、意識していかなくてはならない問題です。
「自己責任の時代」とか、「自助努力の時代」という言葉を聞く機会も増えました。
しかし、そんな言葉を耳にするだけで、何の行動も起こさなければ、意味がありません。
行動を起こす動機付けのためにも、自分が置かれている現状を知りましょう。
「暮らしとお金の設計図」でも、新しい情報を随時更新していきます。